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イーサリアム(ETH)の仕組みをわかりやすく解説

20分
投稿者 Shota Oba
編集 Shota Oba

ヘッドライン

  • イーサリアムは、スマートコントラクトとdAppsのプラットフォームとして、2015年にヴィタリック・ブテリンによって開発されました。
  • イーサリアムは、ビットコインとは異なり、価値の保存だけでなく、複雑なプログラムを実行する「ワールドコンピュータ」として設計されています。
  • 2024年のDenCunアップグレードでデータ処理効率を改善し、トランザクション速度とスケーラビリティを向上させました。

イーサリアム(ETH)は、ビットコインに次ぐ第2の人気を誇る暗号資産です。しかし、その仕組みや特徴はビットコインとは大きく異なります。本記事では、イーサリアムの基本的な仕組みをわかりやすく解説します。

イーサリアムの概要

ヴィタリック・ブテリン カバー

イーサリアムは、ヴィタリック・ブテリン氏によって開発され、2015年にローンチされました。イーサリアムは、スマートコントラクトと分散型アプリケーション(dApps)のプラットフォームとして設計されています。これにより、中央管理者なしでプログラムを実行できるようになります。

「ワールドコンピュータ」としてのイーサリアム

イーサリアムは「ワールドコンピュータ」とも称される汎用性の高いブロックチェーンです。ビットコインが価値の保存と送金手段に特化しているのに対し、イーサリアムは複雑なプログラムを実行することが可能です。

イーサリアムとビットコインの違い

ビットコインはおもに価値の保存と送金手段として使用されますが、イーサリアムはより複雑なアプリケーションの開発を可能にします。イーサリアムのネットワークは、スマートコントラクトと呼ばれる自己実行型のプログラムをサポートしており、これが大きな違いです。また、ビットコインが限定的なスクリプト言語しか対応していないのに対し、イーサリアムは複雑なコードを実行可能なバーチャルマシン(仮想マシン)を動かせる点でも異なります。

イーサリアムのバーチャルマシン(EVM)は、チューリング完全(Turing-complete)です。これは、理論上どんな計算でも実行できる能力を持つことを意味します。EVMは複雑なプログラムを実行できるため、多様なアプリケーションが可能になります。

関連記事:イーサリアム仮想マシン(EVM)とは?特徴や仕組みについてわかりやすく解説

イーサリアムの独自通貨ETH

イーサリアムのネットワーク活動, ETH

イーサリアムの独自通貨であるイーサ(ETH)は、ネットワーク上での取引やスマートコントラクトの実行に使用されます。ETHは、イーサリアムエコシステムの燃料として機能します。ブロックチェーンとは、取引データを記録する分散型の台帳です。各取引は「ブロック」として記録され、連続的にチェーン(鎖)状に結びつけられます。この構造により、データの改ざんが非常に難しくなっています。

関連記事:ブロックチェーンの仕組みとは?暗号資産の根幹となるシステムをわかりやすく解説

スマートコントラクトとは?

スマートコントラクトは、契約の条件がプログラムコードとして書かれた自己実行型の契約です。特定の条件が満たされると、自動的に実行されます。

例えば、不動産の取引では、支払いが完了すると同時に自動的に所有権が移転するようにスマートコントラクトを設定できます。このように、人為的なミスや不正を防ぐことができます。イーサリアムのスマートコントラクトは、自己実行的で、第3者の関与を必要としません。

スマートコントラクトは非常に強力ですが、セキュリティホールが存在する可能性があります。コントラクトの監査やセキュリティレビューが重要です。例えば、コードのバグを防ぐための標準的なセキュリティガイドラインや、監査サービスを利用することが推奨されます。

関連記事:スマートコントラクトとは?特徴や活用事例をわかりやすく解

オラクルの役割

オラクルは、現実世界の情報をブロックチェーンに持ち込む仕組みです。スマートコントラクトが外部データに依存する場合、オラクルが信頼性の高いデータを提供します。例えば、天気情報や株価データなどがオラクルを通じてスマートコントラクトに取り込まれます。

関連記事:ブロックチェーンオラクル入門編

イーサリアムのコンセンサスメカニズム

イーサリアムは、2022年にプルーフ・オブ・ワーク(PoW)からプルーフ・オブ・ステーク(PoS)へと移行しました。この新しいコンセンサスメカニズムは、環境への負担を軽減し、ネットワークのセキュリティと効率を向上させます。

プルーフ・オブ・ステーク(PoS)の仕組み

PoSは、ネットワークのセキュリティを確保するための新しいメカニズムです。バリデータが自分のETHをステーク(担保)することで、ブロックを提案し、ネットワークの運営に参加します。PoSでは、バリデータが選ばれる確率は、ステークしているETHの量と時間に比例します。これにより、エネルギー消費が大幅に削減され、ネットワーク全体のセキュリティと効率が向上します。

イーサリアムのガスと手数料の仕組み

イーサリアム上で取引やスマートコントラクトを実行するには「ガス」と呼ばれる手数料が必要です。ガスは計算リソースを消費するためのコストとして支払われます。

ガス代の計算方法

ガス代の計算は次のように行われます:

  1. ガスリミット: トランザクションで使用するガスの最大量を指定します。
  2. ガス価格: ユーザーが支払う意思のある1ガス単位あたりの価格を指定します。
  3. ガス代 = ガスリミット × ガス価格

ガスリミットが21,000でガス価格が50 Gweiの場合、ガス代は1,050,000 Gwei(0.00105 ETH)となります。

ガス価格の設定と影響

ガス価格は市場の需要と供給によって決まります。ネットワークが混雑しているときは、手数料が高くなる傾向があります。ユーザーはトランザクションの優先度に応じてガス価格を設定します。トランザクションの実行速度を上げたい場合、より高いガス価格を設定することで優先的に処理されることがあります。

トランザクションのプロセス

トランザクションはmempoolと呼ばれる待機リストに追加され、バリデータによって検証されるまで待機します。検証後、ブロックに追加され、ブロックチェーンに記録されます。このプロセスにより、トランザクションの一貫性と信頼性が保たれます。

トランザクションの流れ

  1. トランザクションの作成: ユーザーがトランザクションを作成し、ネットワークに送信します。
  2. Mempool: トランザクションはmempoolに追加され、バリデータによってピックアップされるのを待ちます。
  3. 検証: バリデータがトランザクションの正当性を検証し、ガス代が支払われることを確認します。
  4. ブロックの作成: 検証されたトランザクションはブロックに追加されます。
  5. ブロックのチェーンへの追加: ブロックがブロックチェーンに追加され、トランザクションが最終的に記録されます。

イーサリアムのアップデートと改善

イーサリアムは、定期的なアップデートを通じてネットワークの機能と性能を向上させています。これには、スケーラビリティやセキュリティの改善が含まれます。

The Mergeアップグレード

22年に完了したアップグレードのThe Mergeでは、PoSへの移行が完了し、ETHの発行量が減少しました。これにより、エネルギー消費が大幅に削減されます。

DenCunアップグレード

DenCunは、イーサリアムの24年に行われたアップグレードで、データの処理効率を向上させ、トランザクションの速度とスケーラビリティを強化することを目的としています。このアップグレードは、ネットワーク全体のパフォーマンスを向上させ、ユーザー体験を改善するための重要なステップです。

イーサリアムの将来の展望と課題

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イーサリアムは、多くの新しい技術とアプリケーションをサポートするプラットフォームとして成長しています。しかし、解決すべき課題多くのもあります。

  • スケーラビリティ: トランザクションの処理能力はEIP-4844(プロトダンクシャーディング)の導入によってL2(レイヤー2)で大幅に改善されました。これにより、RollupなどのL2ソリューションがより効果的に機能するようになります。今後の完全なシャーディングの導入でさらにスケーラブルになると期待されています。
  • ストレージ: 膨大なデータを効率的に管理するため、Eigen Layerやセレスティアなどのデータアベイラビリティ(DA)レイヤーサービスが解決を試みています。これにより、ネットワークのデータ負荷を軽減し、効率的なデータ管理を実現します。

このほかにもトランザクションの順序をめぐる問題などさまざまな解決すべき問題が提議されています。

関連記事:EigenLayerとは? ETHの活用法と仕組みについて解説

イーサリアムのトークノミクス

出典:コインゲッコー

イーサリアムのトークノミクスは、供給の制約と需要のバランスによってETHの価値を維持しています。ETHの初期配分は、83.33%がイーサリアム・クラウドセールに、16.68%がイーサリアム財団や初期貢献者に割り当てられました。供給スケジュールでは、PoWブロック報酬、PoS ETH 2.0の発行、および2014年のイーサリアムICO時のジェネシス配布を含む推定流動供給が循環に入ります。EIP-1559の導入により、取引手数料の一部がバーン(焼却)される仕組みが実装され、インフレ抑制効果が期待されています。

イーサリアムのガバナンス

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イーサリアムのガバナンスは、オフチェーンのプロセスを通じて行われます。

オフチェーンガバナンス

オフチェーンでは、イーサリアム改善提案(EIP)プロセスが中心となります。EIPは、技術的な提案や改良案を提出するためのメカニズムです。開発者やコミュニティメンバーが提案を提出し、広範な議論とレビューを経て、合意に達したものが実装されます。例えば、EIP-1559はトランザクション手数料のメカニズムを改良する重要な提案であり、コミュニティの支持を受けて実装されました。

アカウントモデルとEOA

イーサリアムのアカウントモデルには、外部所有アカウント(EOA)とコントラクトアカウントの2種類があります。

外部所有アカウント(EOA)

  • 所有者: EOAは人間や企業が所有するアカウントで、秘密鍵によって管理されます。
  • トランザクション: EOAはETHの送受信やスマートコントラクトの呼び出しを行うことができます。
  • 操作: EOAの操作は、所有者が秘密鍵を使用してトランザクションを署名し、ネットワークに送信することで行われます。

コントラクトアカウント

  • 管理: コントラクトアカウントはスマートコントラクトによって管理され、自動化された操作を実行します。
  • 実行: コントラクトアカウントは、特定の条件が満たされると、自動的にプログラムされた操作を実行します。
  • セキュリティ: コントラクトアカウントの操作は、事前にプログラムされたコードに基づいて実行されるため、セキュリティ上のリスクが発生する可能性があります。これを防ぐためには、コードの監査とテストが重要です。

ネットワーク参加方法

イーサリアムのネットワークに参加するには、フルノードやライトノードをセットアップし、運用する必要があります。

フルノード

  • 機能: フルノードはブロックチェーンの全履歴を保持し、ネットワークの全体像を把握します。
  • リソース: フルノードは高いリソース(ストレージ、メモリ、帯域幅)を必要とします。

ライトノード

  • 機能: ライトノードは必要なデータのみを保持し、リソース効率が高いです。
  • 使用例: リソースが限られているデバイスで使用されることが多いです。

イーサリアムの未来に注目

イーサリアムは、ビットコインとは異なるユニークな特徴を持ち、多くの可能性を秘めています。シャーディングやLayer 2ソリューションの導入によるスケーラビリティの向上、dAppsやDeFiの拡大など、技術的な進化とエコシステムの発展が続く中、イーサリアムはブロックチェーン技術の未来を切り拓くプラットフォームとして、その地位を強化していくことが期待されています。

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国際関係の大学在籍中に国内ブロックチェーンメディアでのインターンを経て、2つの海外暗号資産取引所にてインターントレーニング生として従事。現在は、ジャーナリストとしてテクニカル、ファンダメンタル分析を問わずに日本暗号資産市場を中心に分析を行う。暗号資産取引は2021年より行っており、経済・社会情勢にも興味を持つ。
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