NFTを使ったゲームが昨今注目を高めています。NFTゲームは、ブロックチェーン技術を活用し、ゲーム内アイテムやキャラクターをNFTとして管理することで、プレイヤーがデジタル資産を所有し、取引できる新しいタイプのゲームです。NFTゲームは「Play to Earn(P2E)」や「Move to Earn(M2E)」といった収益モデルを取り入れ、プレイヤーがゲームを通じて収益を得ることが可能です。さらに、NFTは資産性と独自性が保証され、ゲーム外でも取引可能であるため、経済的なメリットも大きく注目を集めています。
本稿ではNFT技術を使ったゲーム「NFTゲーム」の概要や稼ぎ方、将来性について分かりやすく解説します。
NFTとは?
NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)はブロックチェーンに基づいて発行される唯一無二のデジタルトークンで、個別に識別されるため他のトークンと交換できません。スマートコントラクトにより生成され、アイテムやキャラクター、アート作品など、ゲーム内外のデジタル資産として多用途に利用されています。NFTの持つ「非代替性」により、NFTはデジタルな収集品としての価値を確立し、物理的なコレクションと同様にユニークな資産として評価されています。
NFTゲームとは?
NFTゲームは、ブロックチェーン技術を利用してアイテムやキャラクターをNFT(非代替性トークン)として管理し、プレイヤーがこれらを資産として所有できるゲームのことです。この仕組みにより、アイテムの独自性や資産価値が確保され、取引や使用に際しても高い透明性と安全性が得られます。実際NFTゲームへの注目は高まっており、NFTを活用したバトルロイヤルゲーム「Off The Grid(OTG)」は2024年10月、人気ゲーム配信プラットフォーム「Epic Games Store」の無料ゲームカテゴリでトップに輝きました。
Off The Grid is now the Most Popular F2P game on @EpicGames!
— Off The Grid (@playoffthegrid) October 11, 2024
🦾 Join the mayhem: https://t.co/hMwIudqM9Y pic.twitter.com/Sqltl4mr3P
NFTゲーム、ブロックチェーンゲーム、GameFiは、いずれも暗号資産やブロックチェーン技術を活用したゲームですが、各カテゴリに応じた特徴と異なるアプローチを持っています。24年第2四半期時点において、ブロックチェーンゲームはWeb3エコシステムに大きく貢献しており、ユニーク・アクティブ・ウォレットの28%を占めていると報告されています。以下に、それぞれの概要と違い、また重なる部分について説明します。
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ブロックチェーンを使ったゲームとNFTゲームは違う?
暗号資産業界のトレンドを見てみると、ブロックチェーンを使ったゲームにもさまざまなジャンルがあり、ユーザーのなかには区別の仕方に困惑する人もいるでしょう。そこで、以下にブロックチェーン技術に基づいたゲームの分類をしたので参照してみましょう。
ブロックチェーンゲーム
ブロックチェーンゲームは、ブロックチェーン技術を活用したゲームの広義の総称で、ゲームデータやトランザクションがブロックチェーン上に記録され、透明性や改ざん防止が保証されるゲームです。この技術により、プレイヤーはゲーム運営者に依存せず、資産を自己管理できる環境が提供されます。ブロックチェーンゲームでは、トークンや暗号資産として扱われるゲーム内アイテムが存在し、他のプレイヤーとの取引や暗号資産取引所での売買が可能です。代表例には、仮想の土地や建物を売買できる『Decentraland』や『The Sandbox』があり、プレイヤーが仮想世界で経済活動を行い、資産を増やすことができるゲームが含まれます。
NFTゲーム:ブロックチェーンゲームの一部
NFTゲームは、ブロックチェーンゲームの一部であり、ゲーム内のアイテムやキャラクターがNFTとして発行され、唯一無二のデジタル資産として取引・所有が可能なゲームです。NFTはブロックチェーン上に記録され、他者が複製や改ざんできないため、アイテムの所有元が保証されます。このようなNFTゲームでは、プレイヤーが集めたアイテムやキャラクターを外部マーケットで転売することで経済的な価値を得ることが可能です。代表的なNFTゲームには『Axie Infinity』や『CryptoKitties』があり、NFTアイテムを活用して収益を得ることも可能です。
GameFi:ブロックチェーンゲームの一部であり、NFTゲームと重なる部分もある
GameFiは、「ゲーム」と「ファイナンス」を組み合わせた概念であり、ブロックチェーンゲームの中でも特に収益性にフォーカスしたカテゴリです。GameFiの中には「Play to Earn(P2E)」モデルに基づき、プレイヤーがゲームプレイを通じて収益を得られるものもありますが、必ずしもP2Eに限定されるわけではありません。GameFiにはNFTやDeFi(分散型金融)の要素が含まれることが多く、プレイヤーはゲーム内で獲得したトークンやNFTを他の暗号資産と交換したり、DeFiプロトコルで運用することができます。例えば、『Axie Infinity』はNFTゲームでありながらGameFiの側面も持ち、NFTキャラクターを活用して収益を得ることができる典型的なP2Eモデルのゲームです。このように、NFTゲームの一部はGameFiやP2Eに分類される場合もあります。
違いと重なる部分のまとめ
- ブロックチェーンゲームは、ブロックチェーン技術を基盤としたすべてのゲームの総称で、データが透明性と信頼性を持って管理されます。
- NFTゲームは、ブロックチェーンゲームの一部であり、ゲーム内アイテムがNFTとして所有・取引可能なゲームです。一部のNFTゲームはP2EやGameFiの特徴を併せ持ち、収益性が強調されています。
- GameFiは、ブロックチェーンゲームの中でもP2Eモデルなどの収益化モデルを採用し、プレイヤーがゲーム内で得た資産を収益とすることに特化したカテゴリで、NFTゲームとの重複部分が多く見られます。
NFTゲームの特徴
NFTゲームは、従来のゲームにない以下の特性を持ち、プレイヤーに新たな収益モデルと楽しみ方を提供します。
- 真のデジタル資産所有
- 従来のゲームでは、アイテムやキャラクターは運営側のサーバーに依存して管理されていました。しかし、NFTゲームでは、ブロックチェーンを通じてアイテムの所有権がプレイヤーに直接与えられます。ゲームが終了してもアイテムが消滅することはなく、資産としてプレイヤーのウォレットに保存され、他のゲームやマーケットプレイスで売買可能です。
- インターオペラビリティ(相互運用性)
- NFTゲームで取得したNFTは、同じブロックチェーン上にある他のゲームやアプリでも使用できる場合があり、異なるゲーム間で資産を活用することができます。これは、NFTの所有権がゲームの運営者に制限されず、プレイヤーが取得したNFTを複数のプラットフォームで自由に使えることを意味します。例えば、「A」ゲームで入手したキャラクターが「B」ゲームで使用される場合もあります。
- ゲームの透明性と不正防止
- NFTゲームはブロックチェーン技術を利用するため、取引履歴がすべて公開され、改ざんが極めて難しい構造になっています。従来のゲームで見られるチートやデータ改ざんの問題は、NFTゲームでは分散型ネットワーク上にデータが保存されるため、チート行為が非常に発覚しやすく、公平なプレイ環境が整備されています。
- 経済的メリット
- NFTゲームでは、プレイヤーがゲーム内で取得したアイテムをNFTとして売買できるため、直接的な収益を得られます。さらに、NFTを貸し出すことで収益を得るリースモデルも可能です。一般的な収益源である課金モデルとは異なり、NFTゲームではプレイヤーが直接利益を得る手段が豊富にあります。
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NFTゲームで稼ぐ方法
NFTゲームは、プレイヤーが保有するNFTをオープンなブロックチェーン上のマーケットプレイスで売買できる点が特徴です。これにより、ゲーム内アイテムは収益化が可能で、ゲームプレイの対価として報酬を得ることができます。また、開発者は取引ごとにロイヤリティ収益を得るモデルを構築することも可能であり、従来の課金モデルとは異なる持続可能な収益源が生まれます。ここでは、代表的な稼ぎ方を3つご紹介します。
- アイテムの売買:プレイヤーは、ゲーム内で獲得したアイテムやNFTをマーケットプレイスで販売して収益を得ることができます。希少価値の高いアイテムは、需要があるため高値で取引される可能性があり、価値はゲームの人気やユーザーの需要によって変動します。
- ゲームプレイ報酬:デイリーミッションやイベント、PvP対戦の勝利など、ゲーム内の活動によってトークンやNFTが報酬として与えられる場合があります。こうした報酬はマーケットプレイスで他のユーザーに販売することも、ゲーム内で活用することも可能です。
- X to Earnモデル:ゲームの中には「Play to Earn」や「Move to Earn」などのX to Earnモデルを採用するものがあります。これらは、ゲームプレイや運動などの活動に応じて暗号通貨やトークンが報酬として提供される仕組みです。多くの場合、事前にNFTを購入して参加する必要がありますが、得たトークンは現金化や他のゲームでの利用が可能です。
X to Earnの代表例
プレイ・トゥ・アーン(Play-to-Earn)モデル
Play to Earn(P2E)は、ゲームをプレイすることで暗号資産やデジタル資産を獲得できる仕組みで、従来のゲームとは異なり、ゲーム内アイテムが現実世界でも経済的価値を持つ点が特徴です。P2Eでは、ゲーム内で手に入るアイテムやキャラクターがNFT(非代替性トークン)として発行されており、これによりプレイヤーはアイテムを独自の資産として保有し、外部のマーケットで売買可能になります。
プレイヤーは、ゲーム内のクエストやバトル、デイリーミッションなどを通じて暗号資産やNFTを獲得し、これを外部のマーケットプレイスで他のプレイヤーと取引することで収益を得ることができます。さらに、P2Eゲームでは、獲得したNFTや暗号資産をDeFi(分散型金融)で運用し、追加の利益を得ることも可能です。こうした仕組みは、プレイヤーにゲームプレイを通じた収益機会を提供し、ゲームを超えた新しい経済圏を形成しています。
代表的な例
- Axie Infinity
- CryptoKitties
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ムーブ・トゥ・アーン(Move-to-Earn)モデル
ムーブ・トゥ・アーン(M2E)は、ユーザーが運動や移動を行うことで暗号資産やトークンを獲得できるWeb3アプリの仕組みです。他の「X・トゥ・アーン」モデルと異なり、M2Eは実際のフィジカルアクティビティに報酬を与える点でユニークであり、健康的なライフスタイルの促進にも寄与します。
多くのM2Eプラットフォームでは、報酬を得るためにNFTの購入が必要ですが、非NFT保有者向けの無料機能がある場合もあります。アプリはスマートフォンのセンサーで運動データをトラッキングし、ウォーキングやランニングに応じてトークン報酬が得られます。このトークンはアプリ内でのアイテム購入や外部プラットフォームでの交換に使用でき、運動を通じて経済的利益を得る仕組みです。代表的なアプリ「STEPN」は、リリースから6か月で55万人以上のユーザーを獲得し、M2Eは今後さらに広がるエコシステムとして期待されています。
代表的な例
- STEPN GO
- Sweatcoin
関連記事:STEPN GOほかムーブトゥアーン・ゲームの始め方
タップ・トゥ・アーン(Tap-to-Earn)モデル
タップ・トゥ・アーン(Tap-to-Earn)は、ユーザーがアプリ内で画面をタップするなどの簡単な操作を行うことで報酬を得る仕組みです。このモデルはNFTやブロックチェーンゲームの一部として利用されることもありますが、必ずしもNFTを活用しているわけではありません。例えば、Notcoinのようなゲームでは、テレグラムアプリ内でコインをタップして暗号資産を獲得できますが、NFTの使用はありません。
タップ・トゥ・アーンの特徴は、シンプルで直感的な操作性です。主なアクションは画面をタップするだけで、プレイヤーはこの操作を繰り返すことでポイントや報酬を獲得します。進行に応じて能力やアイテムを向上させ、新しいキャラクターやレベルが解放されるため、ゲーム内での達成感を味わうことができます。また、多くのタップ・トゥ・アーンゲームはアクションの自動化オプションも提供し、より効率的に報酬を獲得できるように設計されています。
代表的な例
- Notcoin
- Hamster Kombat
関連記事:GameFiで注目のTap to Earn(タップして稼ぐ)とは?
NFTゲームとソーシャルゲーム(ソシャゲ)の違いは?
項目 | NFTゲーム | ソシャゲ |
---|---|---|
技術基盤 | ブロックチェーン | 中央管理型サーバー |
アイテムの所有 | NFTとしてプレイヤーが直接所有 | 運営会社が管理 |
取引の自由度 | 他ゲームやマーケットで取引可能 | 外部での取引は基本的に不可 |
透明性 | 取引履歴が公開、改ざん困難 | チートが発生する場合がある |
経済的メリット | NFT売買・貸し借りによる収益可能 | ゲーム内課金による収益 |
NFTゲームとソシャゲはどちらもオンラインで楽しめるゲームですが、それぞれ異なる技術基盤と特徴を持っています。NFTゲームはブロックチェーン技術を使用し、アイテムをNFTとして発行することで、所有・売買が可能です。一方、ソシャゲは中央管理型のサーバーでデータを管理し、アイテムはゲーム内でのみ使用され、売買は一般的に認められていません。
NFTゲームは不正防止と透明性に優れ、取引履歴が確認できるため信頼性が高く、プレイヤーが収益を得られる新しい経済モデルを提供します。ソシャゲは課金収益がメインで、アイテムに資産的価値はなく、協力プレイやコミュニケーションを強調します。NFTゲームは資産形成の可能性を提供し、ソシャゲは手軽さと社交の楽しさを提供する点が大きな違いです。
NFTゲームのリスクと考慮点
NFTゲームにはメリットがある一方で、リスクも存在します。以下は代表的なリスクとその対策です。
- 金銭的リスク
- NFTゲームでは、初期投資が高額になる場合が多く、特に人気のあるゲームやレアなNFTは費用がかかる場合があります。また、市場の変動によってNFTの価値が下がる可能性があり、投資資金を失うリスクも存在します。
- 詐欺のリスク
- 偽のマーケットプレイスやスマートコントラクトの悪用により、詐欺の被害に遭うケースがあります。信頼性のあるウォレットやプラットフォームを利用し、取引先やコントラクトの正当性を確認することが重要です。
- NFTの安全性と保管
- NFTの管理にはウォレットが不可欠で、ウォレットが特定のトークン標準に対応しているか確認が必要です(例えば、ERC-721やERC-1155など)。また、ウォレットに不必要なアクセス権を与えないことが安全性の確保に繋がります。
- NFT消失リスクと対策
- NFTはゲーム内ルールや送信時のミスで失われる可能性があります。例えば、非対応のウォレットへの誤送信や詐欺による不正な転送が発生することがあります。このリスクを軽減するには、信頼性のあるウォレットの使用や、送信前の確認が必要です。NFTは物理的な所有物と同様の管理が求められ、日頃からのリスク意識が必要です。
関連記事:NFTの詐欺の手口と対策方法
NFTゲームの将来性
S&Pグローバルによると2022年、NFTを利用したゲーム内アイテム販売からゲームパブリッシャーが得た収益は36.4億ドルに達し、今後もNFTゲーム市場は成長が期待されています。特に、2027年までに年平均成長率(CAGR)33.5%で推移し、154.6億ドル規模に拡大する見込みです。この成長の背景には、NFTメカニクスを備えたゲームが市場に増加し、幅広いプレイヤー層が参入することで需要が高まることが挙げられます。
2022年末時点で、NFTは全体のゲーム内購入市場の約3%を占めており、2026年には8%に拡大する可能性が示唆されています。特にPCゲーム市場が中心ですが、同社は大手プラットフォームがNFT取引を全面的に採用することで、より急速な成長が期待されると指摘しています。AppleやSonyといった大手プラットフォーマーがNFTの取引を本格的にサポートすれば、さらなる市場拡大が見込まれますが、現時点ではこれらの大手企業は慎重な姿勢を崩していません。
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NFTのオワコン説は影響する?
BeInCryptoが23年9月に報じたように、NFTプロジェクトの96%がすでにオワコン化したと見られており、保有者の43%が現在損失を抱えていることが判明しています。NFT保有者は平均して44.5%の損失を被っており、NFTの一般的な寿命はわずか1.14年とされています。特に注目すべきなのは、2023年にNFTプロジェクトの約3分の1が消滅し、これまでで最も高い失敗率を記録したことです。
一方で関係者のゲーム×NFTへの見方は強気です。大手NFTマーケットプレイスOpenSea共同設立者兼CEOのデビン・フィンザー氏は、BeInCryptoへのインタビューにおいてNFTの可能性を強調し、特にゲーミングや物理的裏付けのあるNFTが市場で注目されていると主張しました。さらにフィンザー氏は、ゲーム業界がNFT採用を促進し、ゲーマーのストレスのないオンボーディング体験が重要になると主張します。
OpenSeaでは、常に新しいユースケースが登場しています。OpenSeaをあらゆるタイプのNFTの拠点とすることは、コレクターの次の波を取り込むために極めて重要です
OpenSea共同設立者兼CEOのデビン・フィンザー氏
NFTの未来を終わったものと見なしていない企業も存在します。米国の著名なベンチャーキャピタルであるa16zが2023年12月に公開した2024年の暗号資産市場予測レポートでは、NFTがデジタルブランド資産としての地位を確立し、さまざまな企業やコミュニティで一般的な存在になると予測しています。
まとめ:今後のNFTゲームの成長に注目
NFTゲームは、ブロックチェーン技術を活用してゲーム内アイテムやキャラクターをNFTとして管理し、プレイヤーがこれを取引・所有できる点で注目されています。代表的な「Play to Earn(P2E)」や「Move to Earn(M2E)」モデルでは、ゲームプレイや運動といった行動が収益につながり、独自性が高いデジタル資産として外部マーケットで取引可能です。NFTは2026年までにゲーム内購入市場全体の8%に拡大すると予測され、NFTゲーム市場は、2024年の市場規模が前年比33.5%成長し、154.6億ドルに達する見込みの注目分野です。今後も同分野に注目し、投資の選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。
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