米労働省労働統計局(BLS)は15日、6月の消費者物価指数(CPI)を発表する。同報告書は、米国(ドル)とイランの停戦発表を受けた原油価格の下落が消費者インフレの沈静化につながったことを示す見通し。
6月のCPIは、5月に記録された0.5%上昇から0.1%低下すると予想されている。年間ベースでは前年同月比で4.2%から3.8%へと鈍化し、昨年5月以来の最高水準から後退する見通し。変動の大きい食品とエネルギー価格を除いたコアCPIも、月間で0.2%、年間で2.9%の上昇が見込まれており、5月と同水準にとどまる見通し。
5月に約17%下落した原油価格は、6月にはさらに20%超値下がりし、戦争前の水準に戻った。投資家の間では、米国とイランが6月17日に停戦し、紛争終結に向けた協議を開始したとの報道が好感された。そのため、CPIの月間ベースでの下落は驚きではない。
インフレ統計の事前予想として、
「6月のCPIは、コアインフレが月次で0.20%上昇にとどまり、全体的にインフレが抑制された状況を映し出すだろう。消費財価格の軟化と住居費の正常化が、基調的なインフレを安定させる要因となる一方、今年の原油高が航空運賃の上昇を続けさせる可能性がある。今回の予想に対するリスクは、直近の報告よりもバランスが取れている。全体CPIはガソリン価格が10%下落したことに引っ張られ、月次で0.22%低下したものとみている」とTDセキュリティーズのアナリストは述べている。
次回CPI統計のポイントは
6月CPIの数字は、原油価格の下落がインフレ緩和に寄与した事実を裏付けるものとなる可能性があるが、投資家はこうした動きを見過ごす可能性もある。7月に入ってから原油価格は再び上昇し始めている。米国とイランによる攻撃の応酬が再開され、脆弱な停戦維持への懸念やインフレ減速の進捗への不安が再燃している。
また、市場関係者の間では、AI(人工知能)ブームがもたらすインフレ圧力への懸念も高まっている。AIインフラへの巨額投資が進み、産業用電力コストの上昇や、技術系ハードウェアおよびLLMソフトサブスクリプションの価格が高騰することで、コアサービスや財のインフレ率が高止まりし、消費者の負担が増す可能性がある。
直近のFRBの調査によれば、個人消費支出(PCE)物価指数の「コンピュータソフトウェア・アクセサリー」区分(非公開)は、直近25年間で年率平均5.3%低下していたが、「2025年11月から2026年3月の間は年率換算で73%という記録的な上昇」を示したという。
このため、たとえCPIが予想通り月間で低下したとしても、投資家はこれをFRBの年後半の金融引き締めシナリオを変えるだけの説得力ある材料とは受け止めない可能性がある。
CMEフェドウォッチツールによると、市場は現在、7月に25ベーシスポイント(bp)の利上げが実施される確率を約30%と見込んでいるほか、年内一度以上の利上げ実施確率を約77%と織り込んでいる。
米CPI発表はユーロ/ドルにどう影響するか
もしCPI速報値が予想外に上振れ、プラス圏で発表されれば、投資家は7月利上げ予想を強め、即座にドル高材料となる。
この場合、ユーロ/ドルは改めて下押し圧力を受けやすくなる。一方で、CPIが少なくともマイナス0.2%を記録し大幅下落となれば、当初ドル売り・ユーロ買いが進む可能性も高い。
ただし、市場は単発的なCPI弱含み指標に過剰反応することは考えにくい。原油価格が再び上昇する中、AIのインフレへの影響にも疑念が強まっているためである。
エレン・センゲゼル欧州市場リードアナリストは、ユーロ/ドルについて次のようにテクニカルな見通しを示している。
「ユーロ/ドルは6月末に1.1330を割り込む12カ月ぶりの安値をつけた後、1.1400台をわずかに上回る水準でもみ合いを続けている。ただ、日足チャートでRSI(相対力指数)はなお50を上抜けておらず、20日移動平均線をサポートに転換できていない点が買い手の慎重姿勢を示している。」
「上値については、1.1500(ラウンドナンバー・静的水準)が目先のレジスタンスポイント、そこから1.1550-1.1555(ボリンジャーバンド上限、50日移動平均)、1.1600(100日移動平均、下降トレンドライン)、1.1645(200日移動平均)と続く。一方、下値は1.1350(静的水準)、さらに1.1220(静的・ラウンドナンバー)、1.1160(静的)まで意識される展開となるだろう。」









