アリゾナ州立大学の新たな研究によると、過去100年にわたり、米国株のほぼ全ては持続的な富を生み出せなかったことが明らかとなった。同研究は1926年から2025年までに上場した2万9754社を追跡した。
そのうち1082社、全体の約3.7%のみが市場の純利益の全てを創出した。その他の銘柄のリターンは平均して、短期国債(財務省証券)を上回らなかった。短期国債は現金を預ける先として最も安全な選択肢の一つである。
米国株の大半、短期国債を下回る
この論文「米国株式市場の100年」はシカゴ大学のCRSPデータベースを利用。1926年以降、ニューヨーク、アメリカ両証券取引所およびナスダックに上場した全銘柄をカバーしている。
著者であるヘンドリック・ベッセンバインダー教授(ファイナンス)は、2018年の画期的な同様の研究を今回更新した。前回の調査も、市場全体をけん引する銘柄がごく少数であることを初めて示した。
1世紀分のデータによれば、株式の約60%は投資家にとって短期国債以下のリターンとなった。一方で、約41%だけがそれを上回った。
平均値は実態を反映していない。中央値の株価リターンは生涯でマイナス6.9%。全体平均はごく少数の大勝者によって3万%超となった。
同じアンバランスは現代も見られる。上昇の原動力は極めて少数の企業に偏る現象であり、アナリストはこれを市場の狭い値動き(ナローマーケットブレッドス)と呼ぶ。
巨人企業が利益の大半を創出
1926年以降、株式市場で生まれた富のうち5社が2割超を占めた。アップルが5兆200億ドルでトップ、全体の約5.5%。2位はエヌビディアで4兆5800億ドル。
マイクロソフト、アルファベット、アマゾンがこれに続く。いずれも「マグニフィセント・セブン」と呼ばれるビッグテック株の一角である。これら7社は、1世紀の富の24.2%を創出し、2026年にはビッグテック・バブルへの警戒感を高めている。
時系列的にも富の集中は加速している。エヌビディアが上場したのは1999年と最近だが、同社とアップルだけで全富の約10%を占める。半導体関連株がビッグテックや暗号資産を今年上回った背景でもある。関連記事
「S&Pは一握りのAI銘柄が支えているとよく言われるが、新しい現象ではない。昔からごく少数の勝ち組が市場を動かしてきた。変わったのは、その勝ち組の数が今や驚くほど少ないことだ」とアナリストのBull Theory氏は指摘した。
市場最小規模のエヌビディア関連銘柄までもが、この上昇相場に加わっている。
富の集中が急加速
富の集中は一段と強まっている。2016年時点までのデータを用いた2018年の研究では、上位89社で全純資産の半分を占めていた。
9年後には、その数は46社へ半減。同期間に市場全体の富は43兆ドルから91兆ドルへと倍増した。勝者が少数化する一方、富の規模自体が拡大した。
この9年間こそビッグテックと生成AIブームが台頭した時期とほぼ一致する。市場のごく一部企業に何らかの急落が発生すれば、その影響は大きい。
ベッセンバインダー教授は、30年にわたり「市場全体をわずかな銘柄がけん引する」という傾向を指摘してきた。個別銘柄の選別よりも幅広いインデックス運用を推奨する理由である。
なお、本論文はまだ査読を受けていない。









