マーク・ザッカーバーグ氏は水曜日に、Meta初の人工知能(AI)によるコーディングエージェント「Muse Code(ミューズコード)」のベータ版を発表した。ローンチ時にMetaが公開した4種類すべての比較で、AnthropicのClaude Opus 5(クロード・オーパス5)が上回った。
それでもMetaはこれらのチャートを公表した。同社は「より優れた製品」ではなく「より安価なツール」として売り出している。独立したテストデータによれば、その差はMetaの公表よりも大きいとされる。
Meta独自の比較チャート、全ラウンドでAnthropicが上回る
Muse Spark 1.2はMuse Codeの中心となるモデルである。同モデルはTerminal-Bench 2.1で82.9%というスコアを記録した。
同じテストで、Claude Opus 5は86.7%を獲得した。Terminal-BenchはLaude Instituteとスタンフォード大の研究者によるベンチマークで、システム修復、データ処理、セキュリティの実務89件を課題としている。
2位も一定の評価に値する。Muse CodeはOpenAIのCodex(81.8%)やGrok Build(81.6%)を上回った。
続くチャートではさらに厳しい結果となった。DeepSWE 1.1のテストは、インターネット接続を遮断した状態で113件のコーディング課題を課す。ここでMuse Spark 1.2は59.3%に下落し、3位となった。
その後Metaは自社エンジニアによる実際のプルリクエスト440件から作成した独自テストを公表。Muse Spark 1.2は70.6%を記録し、Opus 5との差は約9ポイントであった。
このスコアは、Metaが7月にリリースした Muse Spark 1.1より2.3ポイント上回るにとどまる。
Metaの比較表に載っていなかったモデル
MetaはGPT-5.6 Terraとの比較では自身の優位を訴えている。しかしOpenAIはより強力なモデルSol(ソル)を有しており、Metaはこのモデルをコーディング関連の3つの比較表から除外した。
Solは独立ベンチマークTerminal-Bench 2.1のランキングで89.5%をマークし、Opus 5(89.1%)を僅差で上回る。
いずれのスコアも、MetaがOpus 5について公表した86.7%を上回る。Metaはライバルのより弱い構成との比較でも後塵を拝した形となった。
真のリーダーであるSolと比べると、Muse Spark 1.2の差は3.8ポイントではなく6.6ポイントに広がる。
ただし、Solは唯一Metaのチャートに1カ所だけ登場している。GPUのカーネルタスク(1000回超のツールコール実施)で、Solは基準値から71.2%の改善。Muse Spark 1.2は68.7%にとどまり、6モデル中4位だった。
一方で注意点もある。Muse Spark 1.2はまだパブリックなランキング(183モデル中、テスト済みは26モデルのみ)に掲載されていない。82.9%というスコアはあくまでMeta発表値である。
「Muse Spark 1.2は、我々が最先端に向けて前進するための次のステップだ。さらに大型で高性能なモデルも今後投入する」と、ザッカーバーグ氏は投稿した。
ザッカーバーグ氏、自社モデルを上回るAIのホスティング検討か
MetaはAnthropicへの計算リソース貸与を協議中と報じられている。契約金額は2年で100億ドル規模となる可能性がある。Metaのデータセンターは、Muse Codeの対抗モデルであるClaudeシリーズの運用にも関与するかたちとなる。
Muse Code開発体制の構築には巨額投資が必要だった。ザッカーバーグ氏は2025年6月にScale AIと創業者アレクサンドル・ワン氏を143億ドルで買収。ワン氏は現在Meta Superintelligence Labsのトップを務める。
ワン氏に残された選択肢は価格競争のみだ。料金はMetaが7月に開始した初の有料APIと同じで、入力トークン100万件あたり1.25ドル、出力トークン100万件あたり4.25ドル。
コントリビュータ向けの階層はさらに10分の1以下の低価格となる。開発者は自身の作業データをMetaの学習用に提供することでこの条件を満たすことができる。ワン氏はMuse Sparkシリーズの導入数については回答しなかった。
Metaの財務報告がディスカウントの背景を示している。直近四半期の売上高は28%増の608億ドルだったが、営業利益は8%減の188億ドルとなった。
営業利益率は前年同期の43%から31%まで低下。今四半期だけで310億800万ドルを設備投資に投じ、年間では最大1450億ドルまで増える見通し。
Muse CodeはClaude Codeにはないエンジニアリング機能も備える。バックグラウンドエージェントがセッション全体で文脈保持し、サブエージェントはリポジトリの独立したコピーで作業を分担できる。
Metaは高性能な2位のコーディングAIを開発し、「格安」な価格で市場投入した。ベータ版運用を通じ、開発者が「精度数ポイント低下」と「価格10分の1以下」のどちらを選ぶかが問われることになる。









