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2023年メタバース参入企業トップ11

24 mins
記事 Ayotomiwa Oladotun

メタバースは、Web3上で最も謎めいたバズワードです。メタバースの本質についてはいまでも議論されていますが、相互運用可能でインタラクティブな仮想世界であるという点では、ほぼ一致しています。ただ、「メタバース」が単数で表記される場合は、多くのリーダー的メタバース集団の中の一つという意味合いになるでしょう。ところで、どのような企業がメタバースをリードしているのでしょうか?

私たちの世界は、将来、物理的な現実と仮想世界をシームレスに行き来できるようになるでしょう。今日メタバースに参入している企業もそう願っているのです。ここでは、Web3.0の世界を自ら切り開こうとしている企業をいくつか紹介しましょう。

目次:

  1. メタバースとは何か?
  2. メタバース企業 ー トップ11
  3. メタバース企業に期待される未来とは?
  4. よくある質問

メタバースとは何か?

メタバース(metaverse)という言葉は、1992年のニール・ステファンスン(Neal Stephenson)の小説「スノウ・クラッシュ」(Snow Crash)に出てくる(仮想の三次元空間である)metaverse[意味は“beyond universe”(宇宙を超えて)とされる]が語源とされます。「メタ 」(meta)は 「超えて」(beyond)、「バース 」(verse)は「宇宙」(universe)の意味です。人が家から一歩も出ずに、新しい都市や国を旅し、多様な文化や伝統を体験するさまを想像してみてください。メタバースは、私たちの生活を拡張する実態型、改良型リアリティを提供するものです。

メタバースでは、拡大する仮想空間のネットワークを通じて、さまざまな体験や冒険をすることができます。拡張現実や仮想現実の世界を探索しながら、交流したり、学んだり、収入を得たりできます。言いかえれば、メタバースは、あらゆるものを網羅(もうら)する仮想世界におけるブロックチェーンベースのワンストップ・ネットワークなのです。

メタバース企業 ー トップ11

すでに多くの企業がWeb3ゲームに参入し、それぞれ独自のバーチャルワールドを築きつつあります。しかし一方で、メタバースの構想やそのコンサルティングに資金を投入することも大変有意義なことです。現在では、他社よりも使いやすく魅力的な製品を作る企業も出てきています。どの企業が何をやっているのかを見てみましょう。

1.メタ(Meta)

2021年に、ソーシャルメディア大手のフェイスブック創業者マーク・ザッカーバーグ氏が同社の社名変更を発表し、フェイスブックはメタとなり、新しい会社の方向性が示されました。ザッカーバーグ氏は自身のレターの中で、ソーシャルメディアの枠を超え、「メタバースに命を吹き込む 」ために必要となる創造的ツールを改良してゆくとの決断をうちだしました。

メタはその後、ホライズンワールドを立ち上げました。このマルチプレイヤー向けVR(仮想現実)空間では、プレイヤーは新しい場所を発見し、友人と交流し、パズルを解き、ゲームをプレイし、ソーシャル活動を開催することができます。

その機能性については否定的な意見も数多くみられますが、ザッカーバーグ氏はメタによるメタバース開発に引き続き意欲的です。同社は、この仮想ワールドの構築に360億ドルという膨大な資金を投入しています。

仮想ワールド周辺では、オキュラス(Oculus)VRもメタの製品です。これはVR用ハードウェアで、メタバースをナビゲートするために使用されます。メタはさらに最近、VRヘッドセットの最新版メタ・クエストプロ(Meta Quest Pro)も発売しました。 

2.グーグル(Google)

グーグルは比較的早くバーチャルリアリティのゲームに参入し、2013年にグーグルグラス(Google Glass)を発売しました。この製品はプライバシーに関する懸念のため市場から撤退しましたが、2017年に新バージョンが再リリースされました。このスマートグラスは、魅力的なAR(拡張現実)機能を備えています。

このグラスは一般企業向けで、装着者は気が散ることなく集中力を維持し、業務効率を高める同僚とのリアルタイムのコラボレーションが容易になります。2022年、同社はこの製品の第3版として、自動翻訳の字幕表示機能付きグラスを発表しました。

ハードウェア製品以外にも、グーグルクラウドはコインベースと提携し、Web3のビジネス機会をうかがっています。このWeb2の巨人はまた、プロジェクト・スターライン(Project Starline)の構築を進めています。これは高度なビデオ技術を使用しており、ユーザーは通信相手を3D画像で見ることができます。

3. マイクロソフト(Microsoft)

マイクロソフトもまた、メタバース進出を視野に入れています。同社は、いくつかの未来志向の製品を展開するため、資金とノウハウを注いでいます。マイクロソフトは、アズール・インテリジェントクラウド(Azure Intelligent Cloud)を介してさまざまなクラウドベースのサービスを提供し、複合現実型ディスプレイシステムでプラットフォームを構築する計画を立てています。

同社はメタバース「メッシュ」(Mesh)の構築に向け、メタ社と戦略的パートナーシップを締結しています。これにあわせて、AI機能を組み込んだチーム(Teams)のプレミアム版も公開しています。

メタ社との提携により、Microsoft 365製品もメタクエスト(Meta Quest)で使用できるようになり、Windows OfficeやXboxクラウドゲーミング(Xbox Cloud Gaming)もVRフォーマットで利用可能になりました。

4. エヌビディア(Nvidia)

エヌビディアは、長年にわたってグラフィカル・プロセッシング・ユニット(GPU)のイノベーションで大きな役割を担ってきました。同社のハードウェアチップは、コンピュータのCPU(中央演算処理装置)用の複雑な演算を行うものです。2022年9月30日、エヌビディアはメタバース構築ツールシリーズ:オムニバース(Omniverse)を発表しました。これは、AI(人工知能)製品、およびAI用の高機能のハードウェア仕様で構成されています。

他方、AI導入および推進をサポートするため、ドイツ銀行と長期イノベーション・パートナーシップを締結しています。

オムニバースクラウド(Omniverse Cloud)も、メタバースにおけるエヌビディアの地位を高める取り組みの一つです。このクラウドサービスは安全性が高く、ユーザーは手持ちのアプリケーションをオムニバースに統合できます。くわえて、AIや3Dレンダリングを含む各種ソフトウェア機能も入手できます。

5. アマゾン(Amazon)

アマゾンもこうしたメタバースの流れに沿って展開しています。多国籍テックコングロマリットである同社は、Web3に参入し、AWS(Amazon Web Services)を含む多くのサービスを提供しています。AWSは2022年に投入されましたが、この新しいコンピューティングプラットフォームでは、デュアルオファリング、すなわちアイアース(IaaS:Infrastructure-as-a-Service)とパースPaaS(Platform-as-a-Service)が使用できます。

クラウドクエスト(Cloud Quest)も、アマゾンのメタバース活動の一環です。AWSクラウドクエストは、オープンワールド型ロールプレイングゲームで、AWSの基本コンセプトの習得、およびリアルワールド(リアルとバーチャルが融合した空間)でのソリューションを構築することができます。

6. テンセント(Tencent Holdings Ltd)

中国の多国籍テクノロジー・エンターテイメント企業であるテンセントも、メタバースを追求しています。同社は最近、XR(クロスリアリティ)部門を創設し、ソフトウェアとハードウェア両方の製品を販売しています。

2022年初め、テンセントはシャオミが支援するゲーム用スマートフォン・メーカーである、ブラックシャーク・ゲーミング(Black Shark Gaming)を買収しました。同ゲーミングプラットフォームを用いて、テンセント向けにヘッドセットやスマートグラスなどのバーチャルリアリティ製品を開発する計画です。また同年9月には、テンセントのクラウド部門とシンガポールのWeb3企業、ストレンジ・ユニバース・テクノロジー(Strange Universe Technology)が、ビジネス向けのバーチャルワールドの構築で提携すると発表しました。

さらに、テンセントの3DインタラクティブスペースであるスーパーQQショー(Super QQ Show)では、ユーザーはQQメッセージング・プラットフォーム上で交流したり、コンサートを行ったり、SNSを楽しむことができます。

7. ユニティ・ソフトウェア(Unity Software)

ユニティーソフトウェアは、ゲーム開発者が3DビデオゲームやAR/VRデバイスを開発できるソフトウェアです。

このソフトウェアを使用して、ゲーム開発者は手軽にアプリの作成が可能となりました。ユニティーは、ゲームが主体の会社ですが、リアルタイムの3Dコンテンツプラットフォームも得意としています。同社は最近、メタバース構築のために複数の企業と緊密なパートナーシップを結びました。現代自動車(Hyndai Motor)との提携もその一つです。

現代自動車とのパートナーシップは、新しいデジタル・エコシステムのスマートモビリティ・ソリューションプロバイダーを目指す現代自動車のビジョン:メタファクトリー、をサポートするものです。このメタファクトリーは、現代自動車の現地工場の「デジタルツイン」として機能し、工場運営の最適化および問題解決の促進を目指しています。

8.ナイキ(Nike)

スポーツメーカーのナイキは、いち早くWeb3のための基盤を整えました。 ナイキランド(Nikeland)は、このライフスタイル業界の巨人がロブロックス(Roblox)上で構築したメタバースプラットフォームです。ユーザー同士が交流し、さまざまな体験ができるようになっています。

同社によると、このプラットフォームには200カ国以上から約700万人が来場し大成功を収めたとのことです。関連するバーチャルイベントには有名人も登場し、例えばサッカーレジェンドであるレブロン・ジェームズ(LeBron James)は仮想空間で選手を指導し、互いに親睦を深めました。

デューンアナリティクス(Dune Analytics)のデータによると、2022年、ナイキはNFT販売で世界最高の売り上げを記録し、1億8500万ドル以上の利益を上げたとのことです。ナイキは、現在、ナイキブランドのバーチャル作品の新しい母体となるWeb3対応プラットフォーム「.SWOOSH」の立ち上げも準備しています。

ナイキは、「.SWOOSH」プロジェクトを 「ナイキの未来を共に創造する機会を与えるために工夫された、新しいコミュニティ体験 」と説明しています。その最初のメンバー(参加)型(member-shaped)デジタルコレクションは、2023年に登場する予定です。

9. アップル(Apple)

アップルのメタバース関連の活動は控えめですが、同社のAR/VR技術に関する特許のなかに、今後同社が目指す方向のヒントがうかがえます。

また、アップルはいくつか興味深い企業買収を行っており、それには、AR企業のVrvanaや、ARグラス用レンズを製造するアコニア・ホログラフィクス(Akonia Holographics)などが含まれます。ただし、メタバースをとりまく技術に関心をよそおいながら、表向きはむしろWeb2に力を入れているようです。以下のツイートを参照してください。

話は変わりますが、コインベースの申し立てによると、アップルは暗号資産取引所で購入されるすべてのNFTについて30%の手数料を徴収するためにアップル製アプリのリリースを遮断した、とのことです。コインベースは、アップルのこの方針を 「通常のインターネットプロトコルで送信されるすべての電子メールに手数料を課すのに等しい行為」 とツイートしています。

10. エピックゲームズ(Epic Games)

エピックゲームズは、インタラクティブ・エンターテインメントのリーダー企業で、3Dエンジンも手がけています。既存のメタバースの仕組みを取り入れたフォートナイト(Fortnite)を運営しています。ゲームズレーダー(GamesRadar)によると、この無料プレイができるクロスプラットフォームゲームには、約8300万のユーザーアカウントが登録しているとのことです。ここ数年、同社はフォートナイト上で音楽コンサートや映画の独占上映会など、いくつか仮想イベントを開催しています。

2022年4月、エピックゲームズはソニーとKIRKBIから、メタバース構築のための資金を20億ドル調達したと発表しました。この戦略的なディールは、Web3技術へのアクセス性を向上させるためのものです。

11. ショッピファイ(Shopify)

eコマースの巨人、ショッピファイもまた、メタバースの一角を担っていると言えます。ショッピファイは、企業が自社製品への3Dモデルの使用を可能にするAR製品、ショッピファイARを発売しました。

同社はさらに、ノベル(Novel)と提携し、ショッピファイのユーザー向けにWeb3ツールを提供しています。ノベルのショッピファイアプリでは、ユーザーはオリジナルのNFTを造形し、配布することが可能です。ショッピファイのCEOは、以下のツイートでこうした活動に触れています。

2022年5月、ショッピファイはクリプト・ドットコム(Crypto.com)と提携し、シームレスな暗号資産(仮想通貨)決済ツールを導入しました。このプラットフォームは、ビットコイン、イーサリアム、ドージコイン、SHIBを含む20以上の暗号資産(仮想通貨)をサポートしています。

メタバース企業に期待される未来とは?

大手のブランド企業やテック企業は、実用化にいたるはるか前から、メタバース構想に夢中になっていました。この記事で取り上げた企業の中には、未来のメタバース(世界)を征する企業もあれば、途中で挫折する企業もあるでしょう。

メタバースはいま伸び盛りにあり、胸を躍らせるような展開もみられます。新しいツールも登場しています。今後は、各種ゲートウェイ、ファシリテーターの導入により、Web3におけるメタバースの利便性とアクセスが一層向上し、ユーザーの仮想空間での相互交流がさらに改善され、拡大してゆくことになるでしょう。

よくある質問

ーメタバースを構築している企業とは?

さまざまな産業分野のビジネスが、すでにメタバースのアイデアを取り入れようとしています。メタバースを構築している有名企業には、メタ、ロブロックス(Roblox)、ユニティ、ショッピファイ、ナイキ、マイクロソフトなどがあります。

ーメタバースに投資している企業は?

アマゾン、ソニー、セカンドライフ、メタ、マイクロソフトなどの大手テック企業が、メタバースの開発と構築に、多額の資金と時間を投入しています。マッキンゼーによると、2021年の初頭から1770億ドル以上がメタバース関連に投資されているとのことです。

ーメタバースの主要なプレイヤーは?

現在、メタバース業界では、メタ、ザ・サンドボックス(The Sandbox)ディセントラランド(Decentraland)、ロブロックスなどが主なプレイヤーとして知られています。これらのメタバース・プラットフォームでは、多岐にわたるユーザー体験ができます。ディセントラランドではバーチャルライブに参加したり、不動産を借りたり、またロブロックスでは実態型のインタラクティブなゲームをプレイできます。

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Takashi Higashi
国際広報、海外の先端技術調査、海外企業との提携等をこれまで行ってきました。ここ数年、暗号資産に関心を持ってウオッチしています。
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