金相場の変動が、企業のM&Aに影響を及ぼしている。パーセウス・マイニングのクレイグ・ジョーンズCEOは、企業間での価値評価の合意が困難と指摘する。
ジョーンズCEOによれば、M&A(合併・買収)の動きは活発である一方で、多くの案件が最終合意に至っていない状況だ。
金を巡る買収ブーム、評価基準で壁
ロイターによれば、地金価格の上昇が金鉱山企業間の統合促進につながっている。ノーザン・スター・リソーシズはデ・グレイ・マイニングを買収し、エキノックス・ゴールドもカリバー・マイニングを傘下に収めた。
一方で、規模の大きな案件はいくつか頓挫している。紫金鉱業によるアライド・ゴールドへの40億ドル買収は成立前に破談となった。ノーザン・スターもゴールド・フィールズによる387億豪ドルの提案を拒否した。
パーセウス自身も、昨年は探鉱会社プレディクティブ・ディスカバリーへの買収提案を、競合のロベックス・リソーシズが条件を引き上げた後に失効させていた。ジョーンズCEOはロイターに、金価格の見通しが企業による取引判断に影響を与えていると話した。
「企業は金価格の動向を見極めてから取引判断を下そうとしている」と述べた。
ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)も、世界のM&A全体で同様の課題を指摘している。資金調達よりも、評価ギャップの調整など取引実行が新たなボトルネックになっているという。
4000ドル下値の攻防とドル高観測
ジョーンズCEOは、金価格の今後を巡る見解の違いが売り手と買い手の間に溝を生んでいると説明する。
「企業によって強気な見通しと慎重な見通しに分かれる」と同氏は述べた。
各社は、買収のリスク・リターンが妥当かどうかを判断する必要に迫られている。その判断軸となるのが金価格であり、2026年は大きく変動している。
貴金属相場は年初から1月下旬の過去最高値までで約25%上昇した(TradingView調べ)。7月中旬には1月1日時点を約8%下回った。金価格は2026年通年で4.34%安となっている。
コベイッシ・レターは、2026年が金先物市場で「過去40年以上で最も変動の激しい年」となる可能性に言及している。今後の価格見通しを巡っても、予測は分かれている。
モルガン・スタンレーは今後12か月間は金に強気な見解だ。金属・鉱業ストラテジー責任者のエイミー・ゴワー氏は、「中央銀行による継続的な買い」を根拠に、4000ドルが強い下値になるとみている。
一方、ARKインベストのキャシー・ウッドCEOは逆の見方を示す。さらに強いドルを予想し、FRBの金融引き締めが金に対するドル安の巻き戻しを引き起こす可能性を指摘した。
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