テマセクの最高投資責任者(CIO)は、人工知能(AI)関連取引の巻き戻しが世界市場にとって最大のリスクと警告した。一方、同社は2031年までにAIへの投資比率を2倍以上に高める方針。
ロヒット・シパヒマラニCIOは、水曜日にシンガポールで開催されたミルケン・アジア・サミット2026で発言した。同氏はこのほか、株式市場に対する2つ目のリスクと、テマセクが今後AI関連株式の保有形態を変える計画も示した。
テマセクCIO、2027年の市場リスク2点を指摘
シパヒマラニCIOは、AIに関する巻き戻しが差し迫っているとは見ていないが、2027年には市場に波乱が生じる可能性を言及した。
「AI取引の巻き戻しが最大のリスクだ。我々はそれが直近で起こるとは見ていない。しかし2027年には波乱がある可能性は否定できない」と述べた。
こうした波乱は、AI関連で高い収益を上げてきたテマセクには大きな影響を与え得る。資産総額5180億シンガポールドル(約4050億ドル)のテマセクは、オープンAI、アンソロピック、エヌビディアなど、有力AI企業の株式を複数保有している。
同社は、ポートフォリオに占めるAI関連投資比率を現在の6%から2031年までに最大15%まで引き上げる方針。AI分野の変化の速さを踏まえ、シパヒマラニCIOはリスク露出を柔軟に調整しやすい体制を目指す。
現在、保有するAI関連株式の約半分が公開市場にあり、同氏は公開市場の比率を70%から75%程度まで高めたい意向を示した。上場株は柔軟に売買できるため、テマセクには戦略転換の余地が生まれる。一方、未上場株式の保有では機動性が限られる。
もう1つのリスクとしてシパヒマラニCIOが挙げたのは、インフレと金利環境だ。債券市場ではすでにこの圧力が顕在化している。ブルームバーグによれば、エネルギー価格上昇と政府の借り入れ増により、さらなる利上げ観測が広がる中、世界の債券は下落局面にある。
「インフレは金利環境と合わせてリスクであり、どこかの段階で株式市場が変調をきたす恐れがある」と付け加えた
シパヒマラニCIOは、AIとインフレ・金利を2027年における2大リスクとして挙げた。
ダリオ氏、バリー氏、ヘイズ氏、クレイマー氏もAIリスクを警告
他の著名投資家もAIブームへの警戒を示している。ブリッジウォーター・アソシエイツ創業者のレイ・ダリオ氏は、AIをバブル末期に近い典型例と指摘。リスクの要因として、債務による支出拡大と金利上昇を挙げた。
マイケル・バリー氏も9月下旬、AIバブルが想定より早く崩壊する可能性があると投稿した。アーサー・ヘイズ氏もまた、AI開発ラッシュが失速するシナリオを見込む。
現時点では、株式市場はこれらの警告を無視している。S&P500とナスダック100は、テック企業の好決算を背景に今週、過去最高値を記録した。
一方で、金利は市場の重荷となっている。ジム・クレイマー氏は、金利上昇による株価への影響が当面の最大懸念要素と指摘。「マッドマネー」司会の同氏は、今後の決算シーズンで高コスト資金調達の影響が企業に表れると予想する。
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