ロシアのプーチン大統領は6日、暗号資産を包括的に規制する新法に署名した。デジタル資産取引のライセンス制度を導入し、2026年9月1日からビットコイン(BTC)などを利用した越境取引を認める。
今回の法整備により、ロシアでは暗号資産を対象とする初の包括的な法的枠組みが整備された。これまで規制当局は暗号資産市場を事実上のグレーゾーンとして扱い、十分な監督体制を構築してこなかった。
新たなロシア暗号資産規制の仕組み
ロシア国内で活動する暗号資産取引所、ブローカー、カストディアンはロシア中銀(ロシア銀行)に登録が義務付けられると、TASSが伝えた。登録プラットフォームは最低1500万ルーブルの資本金が必要。さらに金融市場の自主規制機関への加入も求められる。ロシア銀行は、2027年7月1日までに完全登録義務を段階的に導入し、既存プラットフォームには移行期間を設ける方針。
こうした義務化は、7月に可決された包括的な暗号資産法案の成立を受けたもの。ロシア下院(国家院)は同日に最終読会も通過させた。
同法はまた、アクティブな取引の要件も規定した。1か月に2件以上、合計350万ルーブル以上の取引を行うことが基準。これにより、正規の市場参加者と単発の売却者を区別する狙い。
公共取引が認められる暗号資産は限定される。対象となるには、時価総額が平均5兆ルーブルを上回り、2年間の1日あたり取引高も毎日1兆ルーブルを超える必要がある。現時点で該当するのはビットコイン、イーサリアム(ETH)、ステーブルコインのUSDT。
国家院金融市場委員会のアナトリー・アクサコフ委員長は、署名前にライセンス規則を擁護した。
「匿名ウォレットの大量利用や暗号資産のグレーな流通は、合法的な市場形成という理念と矛盾する」とアクサコフ委員長は述べた。
本法は、既に7月1日から企業による対外取引としての暗号資産決済を可能としていた限定的な措置を基盤にしている。今回の新法により、暫定措置から正式なライセンス制度へと転換した格好。
個人投資家への制限と国内決済の禁止
個人向け取引には機関投資家より厳しい条件が課される。資格を持たない投資家、つまり所定の知識試験を通過していない者には年間購入額の上限が設けられ、登録された各仲介業者ごとに各年30万ルーブル(約3690ドル)までとなる。ロシアの個人投資家の98%が非資格投資家とされる。
物品やサービスの国内決済は依然として禁止。担当当局はこの制限によりルーブルの安定を守れると主張している。国内での広範な暗号資産利用は自国通貨への需要低下につながる懸念があると説明。
暗号資産交換を合法化する動きの背景には、制裁圧力もある。欧州連合(EU)による一連の制裁パッケージが、ロシアの国際金融市場へのアクセスを段階的に狭めている。
ロシア国内の専門家の間でも、国内業界の対応方針について意見は分かれている。一方で、新たなEU制裁によりロシア人が暗号資産サービスを利用しにくくなった。過去のパッケージではロシアの暗号資産分野が標的にされた経緯もある。
この新法は、国が認可した暗号資産の流通を厳格に管理された取引手段として位置付けるものであり、欧米の制裁で制限されてきた取引チャネルの一部を補完する役割を果たす。
米国との対比は際立っている。米上院銀行委員会は5月、「CLARITY法案」と呼ばれる暗号資産取引所の市場構造法案を15対9で可決。同法案は今後、上院本会議の可決、下院との調整、大統領による署名といった法制化までの工程が残っており、複数の障害も指摘されている。これに対しロシアの暗号資産規制は、すでに署名済みで9月1日発効となる。









